第91章 相変わらずの強欲っぷりだな
そんな私達の傍に、環が飛んでやってくる。
「中崎さんっ!最近どんな感じ?落ち込んだり、落ち込んだりとかしてない?」
『ふふ。大丈夫ですよ』
「そっか。なら、良かった。
ん?てか、ヤマさんはどうしたん?なんか、携帯のバイブみたいに震えてね?」
「ありもしない天変地異に怯えていらっしゃる最中です」
「ふーん??テン、ペン、チー?」
「ポン、カン、チーみたいに言わないでくれる?」
環は、震える大和を人差し指でつんつんした。と、そこへ更に新しいメンバーがやって来る。彼が加わり、敬語キャラが3人集った。
「開演まで、あと数時間ですね。やはり、ライブ前のワクワク感は堪りません!このビックな会場の全客席を、TRIGGERのファンが埋め尽くしサイリウムを振る…想像するだけで、ワタシまで歌い出してしまいそうです!」
『あ、全客席は埋まりませんよ』
「What's!?」
『埋まるのは、まぁ8.5割ほどですね』
ナギは、目をまん丸にした。が、これに1番大きな反応を見せたのは、ナギでも、環でもなかった。
「はっ!?チケットを売り切らなかったんですか!?Whaleの、待ち望まれた大ホールの、こけら落としライブですよ!?あなたが付いていながら、何をやってるんですか!私達から出場権を奪っておいて、ふざけないでください!」
「おぉ。いおりんが、ガチおこだ…」
『…貴方は、私を買い被り過ぎですね。私は、万能じゃないんですよ』
下唇を噛む私を見て、一織はハッとした表情を浮かべた。
「まさか…チケット販売に関する全権は、Whale側に?」
『その通りですね』
「はぁ…まったく。こけら落としにTRIGGERを起用しておいて、何をやってるんでしょうね。
でも、これで腑に落ちましたよ。いつも通りあなたが取り仕切っていれば、チケットの売れ残りなんてありませんからね。もし、そんなことが起こるのだとしたら…それこそ、天変地異の前触れだ」
「てんぺんチーって、流行ってんの?」