第91章 相変わらずの強欲っぷりだな
苛立たせてしまったかもしれない。でも、これでいい。TRIGGERのライブを楽しみに出向いてくれた彼らに、余計な心配をかけるのは避けられたのだから。
このまま何事もなくライブを終えて、後で笑って話せればいい。どうして自分達は、あぁも過敏になっていたのだろうか。ツクモが何か仕掛けてくると勘ぐって、ありもしない罠に怯えていたな と。
「そういや、Re:valeは?どうせあの2人も招待してるんだろ?もしまだ挨拶来てないんだったら、出くわさないうちに そろそろ退却を考えるんだけど」
『いえ。お2人は、楽屋にはいらっしゃらないそうです。ライブには来てくださっているはずですけど、ここへ顔は出せないと』
「まぁ、Re:valeさんもお忙しいですからね。それでもなんとか時間を作って、ライブには来てくれるあたりがお2人らし…
二階堂さん?どうしたんですか。真っ青な顔をして」
「…ありえない」
大和は、目を見開き口元を手で覆い、青い顔で呟いた。私と一織は、揃って首をかしげる。
「あの2人が…、あんたがここにいるのに、来ないって言ってるんだぞ?あんたに会える口実を、みすみす逃すって?あり得ないって…天変地異だ。これは、天変地異の前触れだ」
ついには、ガタガタと震え出してしまう大和。一織は、そんなリーダーに冷ややかな目を向ける。
「流石にちょっと大袈裟でしょう。百さんと千さんが、中崎さんを気に入っている様子なのは、私でも分かりますけど」
『そうですよ。あの2人が気まぐれなのは、貴方も知るところでしょう。きっともう、飽きたんですよ。私に構うのにも』
私と一織の言葉に、大和は何度も首を振る。そして、分かってない。お前らは何も分かってない、と。呪文のように数回呟いた。