第90章 どうしても聞いてもらいたい話
コツコツとスマホの画面を叩き、アンケートのサイトを開く。そして2人へスマホを差し出した。
「あらやだ…TRIGGERが、2位に浮上してる!」
「…なるほどな」
何かを察し、ニヤリと口角を上げた社長。対する姉鷺は口元に指先をやって、目を丸くしている。
「でも、どうしてこうなるって分かったの?だって、今うちの子達は あの変態ドS社長のせいで、メディアへの露出が激減中なのよ?こんなに不利な状況で、なぜ絶好調のあの2グループに勝てるわけ?」
「こんな状況だから。だろう」
「え?」
『はい。その通りだと思います。姉鷺さん、ずっと下へ画面をスクロールしてもらえますか?』
姉鷺はすぐに、スマホに指を走らせる。下へ下へとスクロールさせて出て来たのは、アンケートに投票した者が添えたコメントだった。
《 お願い!TRIGGERに投票して!あの3人に会いたい! 》
《 IDOLiSH7もRe:valeも大好きだけど、コンサートで会えてるもん!でもTRIGGERには全然会えてない! 》
《 絶対TRIGGER!P.S どうして最近、ライブしてくれないの?寂しい! 》
そう。何の因果か、了がTRIGGERのメディア露出を妨害してくれたおかげで、ファンの訴求が高まったのだ。
ツクモが、TRIGGERをファンから離せば離すほどに、ファンはTRIGGERを強く求める。
他でもない、ファンのTRIGGERに逢いたいという想いが、3人を大舞台へと押し上げるのだ。
「このまま行けば中崎の言う通り、TRIGGERがトップに躍り出るのは時間の問題だな」
『…そう思います。
私は少し、気になることがありまして。調べたいので仕事部屋へ戻らせていただきますね。失礼します』