第90章 どうしても聞いてもらいたい話
翌日。総支配人は定刻と同時に現れた。社長と姉鷺、それから私の3人が、彼と付き人をもてなす。
何かとんでもない条件をふっかけてくるかもと身構えていたが、顔合わせは呆気なく済んでしまう。
話し合われた内容は、いくつかあった。アンケートでTRIGGERが1位になれば、こけら落としのライブに出演して欲しいということ。また、その際の出演料。当日はテレビの中継が入ること。チケット販売の運営は、Whale側が行うこと。など。
総支配人をゲートまで見送った後に私が社長室に戻ると、二人はぐったりとソファに埋もれていた。当然だが、相当気を張っていたらしい。
かく言う私も同じなわけで、彼らと同じように休ませてもらう。
「はぁ〜…ストレスで胃に穴が空いて肌年齢が上がりそう…」
「だが、良い会合が出来た。断る理由などないからな。なんとしても、TRIGGERがこけら落としを行う」
「行うと申されましても社長…。アンケートで1位を獲らないと、出演は出来ないんですよ!」
「なんでもいい!コネでもなんでも使って、TRIGGERを1位にするんだ!」
「そのコネは、一体どこにあるんですか?」
「……それを考えるのが、お前達の仕事だろう!」
「そうは言われましても…いま、最も勢いのあるIDOLiSH7。絶対王者のRe:vale。その二強を落とすのは、至難の業かと…」
仲睦まじく話す2人の邪魔をするようで申し訳ないが、おずおずと意見を述べさせてもらう。
『いえ。何もしなくても、トップを獲るのはTRIGGERですよ』
「ちょっと。アンタどれだけTRIGGER好きなのよ!まぁ、アタシも負けずにあの子達を愛してるけど!でもだからって、身内贔屓した希望的観測を持ち込むのはどうかと思うわよ」
『そういうのじゃなくって…これを、見てください』