第90章 どうしても聞いてもらいたい話
龍之介が楽にそんな告白をしてから、数日が過ぎた。その告白は私が思っていたのとは大きく違っていたわけだが、とうの龍之介は気分が晴れたらしい。良い意味で開き直れたのか、私と楽が2人で話していても辛そうな表情を浮かべることはなくなった。
問題の、ツクモからの嫌がらせはなくなったわけではない。しかし、なんとかしてTRIGGERに仕事を。と考えてくれる企業は後をたたなかった。そのおかげで、TRIGGERは業界に食らい付けている状況だ。
了に目を付けられ、業界から干されずに踏ん張っている現状は、奇跡と言っても過言ではない。
私はパソコンの画面から、世間のTRIGGERに対する声を拾っていた。
《 最近、TRIGGERテレビで観る機会減ったくない?寂しいの私だけ? 》
《 TRIGGERに嫌な噂が立ったことあったけど続報ないし、あれデマっぽくない? 》
《 あーーっ!TRIGGERに逢いたい!ライブ行きたい! 》
《 TRIGGER不足が過ぎる。供給足りてない 》
マウスを握る手が、嬉しさで震える。
『大丈夫…貴方達は、こんなにも愛されてる。TRIGGERはやっぱり、皆んなにとって必要なアイドルだ』
「プロデューサー!大変です!これ、見て下さい!」
仕事部屋へ飛び込んで来たのは、イベント・コンサート制作部の人間だ。
彼はノックもせず、部屋に踏み込む。かなり焦っている様子だ。そして、慣れた手付きでキーボードを叩きマウスを滑らせる。
これです!
そう言われ、画面を確認する。そこには、驚きの内容が広がっていた。