• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第90章 どうしても聞いてもらいたい話




帰りの車中。
冷静を取り戻した楽は、さきほど無駄にした時間を取り戻すかのように話し始めた。


「まぁ、好きになった奴がたまたま男だったってだけの話だからな。俺はそういうの、普通に良いと思うぜ。もっと早く教えてくれりゃ良かったのに。龍が前にバーで話してくれた時とかにでもさ」

「一応は職場恋愛になるわけだから、秘密にした方が良いかなって思ったんだ」

「なんっだよ!水臭ぇな!」


楽は、龍之介の背中をバンバンと叩く。それを、無感情の瞳で見つめている天。私は私で、運転に集中するふりをして会話への参加を避けた。


「で、今は一緒に暮らしてんだろ?」

「えっ!ど、どうして分かったんだ!?」

「前から思ってたんだけど、お前らから同じシャンプーの匂いがするんだよ。やっぱ気のせいじゃなかったんだな」

「シャ、シャンプー…」

「ねぇ。色々と驚異的に鈍いくせして、嗅覚だけ異常に鋭いのなんなの?ねぇ」

「おう。俺は鼻も良いし、目も良いぞ。あぁ あとな…顔も良い」

「……」

「なんか言えよ」


ハンドルを握る私は、密かに すんすんと鼻を鳴らした。まさか、シャンプーの匂いとは。盲点であった。これからは、龍之介と私が使うシャンプーは別にしよう。

早速、今日の帰りに薬局へ寄って帰るのであった。

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp