第90章 どうしても聞いてもらいたい話
「楽、聞いてくれ!実は…!」
「ん?」
「『あぁっ、待っ』」
ついに時限爆弾が、爆発する——!!
「実は俺、春人くんと付き合ってるんだー!!」
『〜〜〜……っっ!……え?』
「え…そ、そっち、なんだ」
「あぁっ、やっと言えた…!」スッキリ
龍之介は積年の願いが叶ったように、やりきった良い顔をしていた。力が抜けたのか、近くにあったパイプ椅子にへろへろと座り込む。
私と天は、思わず顔を見合わせる。そして、本日何度目になるか分からない、視線だけでの会話を行う。
「……」
(それで、良いんだ)
『……』
(これで、良いみたい)
確実に、私の性別、Lioである事を話すと思っていた。しかし龍之介はそれらをすっ飛ばし、私達の関係のみを語ったのだった。
それでいいのか?とも思ったが、彼はこれ以上ないというくらい満足気だ。龍之介が良いなら、これで解決なのだろう。私としても助かった。
「はぁ。まぁ、いいや。
それで?ここで石みたいに固まってる人はどうするの?」
『え…あぁ、少し、放置の方向で。私も今まさかの展開に、ちょっと動揺してるので構う余裕がありません』
「うん、ほんとに…同感…」
口をぽかんと開き、目は瞳孔がきゅっと縮まって、直立不動の楽。そして、にこにこ太陽のような笑顔の龍之介。
そんな2人を横目に、私と天は揃って脱力し、ソファへ体をぐったりと預けた。