第90章 どうしても聞いてもらいたい話
「ちょっと待って。ボクは到底 賛成出来ない」
『分かってる。だから話すと言っても、今すぐってわけじゃ』
「俺、言っても良いんだ…!楽に、もう秘密にしてなくても良いんだ!あっはは!どうしよう!すごく嬉しい!」
『ちょっ。いや、嬉しいのは分かるけど落ち着いて?』
「龍、だから少し待って。先走らな」
私達の会議がまだ終わっていないというのに、男は戻って来てしまう。
いや、勝手にこちらがこんな場所で大事な話を始めてしまったのだ。だから楽に、空気を読めないだとか 戻って来てしまった、などと言うのは御門違いなのだけれど。
「ん?なんか盛り上がってるみたいじゃねぇか。何の話してたんだ?」
「なんて空気を読まないタイミングで」
『戻って来てしまったんですか』
「は?」
楽は私と天に理不尽な言葉を浴びせられ、明らかにイラっとしていた。
と、そこへ舞い上がった龍之介が声を上げてしまう。
「楽にも関係のある話なんだ!」
「俺に?」
『わっ、わわ』
「龍!待っ」
私も天も慌ててしまい、思わず口がもつれる。
「楽、君にどうしても聞いてもらいたい話がある!」
「おう。いいぜ」どんと来い
『相変わらず、聞く態勢が整うのが恐ろしく早い!なんたる男前!
はっ!こういうところも抱かイチたる所以っ』
「キミ!今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!」