第90章 どうしても聞いてもらいたい話
「俺もその恋、応援したい。好きだ、って言葉をもらって嫌な気持ちになる人なんていないんじゃないかな。今は、振り向いてもらえなくても…変わらず一途に想っていれば、その気持ちはいつか相手の人にも届くと思う。
だから、シークレットモーニングさんが潰れてしまわないのなら、もう少しだけでも頑張って欲しいかな」
「龍…あぁ、だよな。うん。俺も、出来れば諦めて欲しくない。
これは俺の身勝手な我儘だが、叶わない恋をしてるのは あんただけじゃない。1人じゃないんだ。だから、辛くなったら周りを頼って弱音吐いたっていいじゃねえか。その、ちょっと挫けちまった次の日の朝。まだ相手の顔が1番に思い浮かんだら、その恋はまだ終わらせちゃいけないと、俺は思う」
龍之介は、楽のこの言葉を聞いて、どう思ったのだろうか。そしてどんな気持ちで、叶わぬ恋を自分も応援したいと。口にしたのだろうか。
どうして恋愛は、胸が痛む人間と 胸が満たされる人間の、両方を生み出すのだろう。願わくば、恋をする全員が幸せになれれば良いのに。
「では、次のお悩みです。ラジオネーム、酒盛り泡盛さんから。
最近、恋人が出来ました。可愛くて優しい、自分には勿体無いくらいの彼女です。でも、どうしても胸のモヤモヤが晴れません。理由は分かっています。その彼女、実は…親友の好きな人だったからです」
「うっ」
これには、龍之介だけでなく私まで呻き声を漏らしそうになった。まだ相談は続いている。
「しかも、その親友は自分よりも先に、その彼女を好きでした」
「うっぐ」
「現状、親友は 自分と彼女が付き合っているのを知りません。ずっと隠したままで、ついに彼女と同棲まで始めてしまいました」
「ぐはっ」
「自分は、彼女も親友も、どちらも失いたくありません。どちらも大切な存在なんです。そんな考えは、自分勝手でしょうか」
龍之介は、ついに頭を抱えてしまった。
全文を読み終わった天が、またこちらを確認してくる。
私の差し金である、訳がない。