第90章 どうしても聞いてもらいたい話
「楽。キミ、プロデューサーに気安く触り過ぎじゃない?」
「そうか?それって何か問題あるのか?」
「あるっちゃあるし、ないっちゃないよ」
「どっちだよ」
でも、そうか…と。楽は、私の髪を掻いていた方の手を じっと見つめて呟いた。
「たしかに天の言う通りかもな。なんかこう、春人は触りやすいんだよ」
『何ですかそれ』
「あんた見ると、構いたくなるってことだろ!まぁお前が嫌だってんなら やめるけど」
『べつに、嫌ではないです、けど…』
「ならいいじゃねえか。許せ!な?」
そう言ってまた、私の背中を軽めに叩く。嫌ではない、が…
もう1度言おう。私は、龍之介が気掛かりなのだ。私の大切な、恋人である彼が。
しばらくして、天が席を立つ。それからすぐに、彼からメッセージが飛んで来た。
その内容は、少し話がしたいから1人で楽屋から出て来て。というものだった。私は言われるがまま、天の後を追うかたちで部屋を出る。
「最近、龍とは上手くいってる?」
『少なくとも、私は上手くいってると思ってますよ。龍も私も、プライベートを仕事に持ち込む事もしていないつもりですし、喧嘩もほとんどしませんしね。ただ…』
「楽とキミが仲良さそうなのを見ると、様子が変わる?」
『気付いてたんですか』
「まぁ。2人との付き合いは、キミより長いし」
天も私と同じ見解を抱いたということは、やはり気のせいではないのだろう。
『天は、どう思いますか?ベタなところでいくと、ヤキモチとか。私と楽を見て、そういう嫉妬的なものを感じてるんでしょうか?』
「微妙だね。龍の性格上、相手を束縛したり嫉妬はしないタイプだと思うけど」
『ですよねぇ』
うーん。と、2人で知恵を絞る。