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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第90章 どうしても聞いてもらいたい話




『と、いうわけで。今日は件のラジオ放送です。こうやって、ありがたく仕事を頂けたのは、偏(ひとえ)に私が今まで色んな人達との御縁を大切に紡いで来たからで。スポンサーである凰塚製薬様のご期待に添えるよう、励んで下さいね』

「キミ、それ自分で言っちゃう?」

「あはは。でもその通りだよね。春人くん、いつもありがとう」

「龍はプロデューサーに甘過ぎ」

『冗談ですよ。数日ぶりのメディアへの出演が、ラジオとはいえ生放送。貴方達が緊張しているのではと思い、少しでも場を和ませようという私の粋な計らいです』


しかし、私の心配は杞憂だったようだ。3人とも、普段と変わらずリラックスしていた。
特に楽は、今日の現場を楽しみにしていたらしい。私のジョークに対して、陽気な調子で対応する。


「ははっ。ついこないだまで、私 落ち込んでるんです。とか弱気だったくせにな。
この仕事もらった日なんか、感激して泣き出したろ。でもまぁ、あの時のあんた、しおらしくて可愛かったぜ」


そう言って、頭をわしわしと大きな手のひらで撫で回してくる。私は、必死でウィッグがズレるのを阻止した。

と まぁ、彼はこんな感じでスキンシップを図ってくる事が多い。それは私に対して特に顕著である。べつにそれが嫌だとか やめて欲しいとは思わないのだが、ひとつ懸念があるとすれば、それは龍之介だ。
普段の彼なら、私がメンバーと仲睦まじくしている姿を見て喜んでくれるのだが。最近は、その様子は見て取れない。どちからというと、悲し気だったり複雑そうなのだ。現に今も、切なそうな表情で楽しそうな楽を見つめている。

そんな龍之介の様子を知ってから知らずか。隣で見ていた天が口を開く。

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