第2章 …なぁ。俺達、どこかで会ったか?
「あんたの言いたい事は分かったけどよ…これとんでもない体幹がいるぜ…っ」
『では すんなり出来るように、これから体を作っていきましょうね』
「…今度の振り付け師は随分スパルタだな」
その時。突然レッスン室の扉が開け放たれた。入ってきたのは…正真正銘の振付師だ。
楽は、突如現れた本物の登場に 目を丸くしている。
「ごめんごめん!!遅くなっちゃった!
って、まだ楽君だけか。良かった…」
「…新しい振り付け師に、変わったんじゃないのか?」
「やだなぁ楽君。勝手に僕をクビにしないでよ」
楽と振り付け師の4つの目が、こちらを捉えた。
『申し遅れました。実は私はこういうもので…』
懐に手を入れて、名刺を取り出そうとしたのだが。
その手はスカっと空を切る。
そうだった…まだ名刺が出来上がっていないのだ。これでは私は完全に怪しい人…。
『………私は中崎春人と申します。
この度TRIGGERのプロデュースを全任されました。以後お見知り置きを』
それだけ言い残すと、私は名刺を手に入れるべく姉鷺を探しに廊下へ飛び出した。
「……え?全任?プロデューサー?え?」
「あいつ…振り付け師じゃなかったのか。いや、それより…
…なぁ。このダンス作ったのは たしか、あんただったよな?」
「え?うん、間違いなく僕だよ。他には誰も知らないはずだ。まだお披露目前だからね!」
「…じゃあアイツは…初見で手直しのポイント見つけやがったのか。何者だよ」
「ねぇねぇ楽くん。僕もしかして本当にクビなの?さっきの人なにー?」
「うるせぇな、俺が知るかよ!」とりあえず親父のとこ行って聞いてくる