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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第88章 合言葉をはいどうぞ!




どうやら巳波と虎於は、この部屋に居座るつもりらしい。ソファへ掛けても了が何も言わないところを見ると、同席を許すようだ。きっとこれは決定事項で、私に選ぶ権限はないのだろう。出来れば了と2人で話したかったが、諦める他ない。


『本題に入らせて下さい』

「勿論さ!聞かせてもらおうか。わざわざここまで訪ねてくれた理由を」

『TRIGGERをはじめ、八乙女プロのタレントを業界から干そう暗躍しているのは、貴方ですね』

「えっ、僕が!?そんなまさか!
って、言いたいところだけど。ここでしらばっくれちゃったら、交渉に移れないから認めてあげる。そうだよ。全ては僕の計算だ。
ねぇ、どんなだった?盤上の駒が急に全部ひっくり返って、天だったものが地になり、地だったものが天になって、居心地の良かった世界が他人の手でぐちゃぐちゃに掻き回される気分は」


了は、テーブルにあったオセロの盤上に手を伸ばす。長く綺麗な指が、駒の色を次々に反転させてゆく。真っ白だった盤上は、あっという間に黒く染め上げられた。
私はそんな光景を見つめながら、本心を打ち明ける。


『それはもう、うんざりさせられましたよ。自分の、力の無さに。自分の、平和ボケしていた頭に』


私は、そっとオセロ盤に手を伸ばす。そして、ゆっくりと駒を反転させていく。今度は、黒から白へと色を変える盤上。パチン、パチンと、部屋に駒の返る音が響く。


『四隅の駒だけでも、絶対に返されないように接着剤でも仕込んでおけば良かった。真っ白だった盤上が、急に真っ黒になるわけない。そんな甘い考えが、私の中にあったんでしょうね。情け無い話です。
さて、駒は再び全て白となりました。私が望む世界は、ここにあるような 白の世界。
黒の世界を望んだ貴方に問います。どうすれば、私達は白を取り戻せますか?

さぁ。交渉に移りましょう』

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