第87章 こっち側は、私の領分だから
「みっともない姿で慌てふためくなら、この子達の前 以外にしてちょうだい!!
アンタたち。自分達が支えなくちゃいけないタレントに、不安を与えてどうするのよ!お馬鹿!
落ち着いて、自分達の仕事をなさい。仮にも八乙女の人間でしょう?これくらいのトラブルに、乱されてるんじゃないわよ!」
「は、はい!」
「ごめんなさい…」
「うぅ、すみませんっ」
まさに、鶴の一声。
我を失っていた男達は、冷静さを取り戻したようだ。その様子に、TRIGGERメンバーも少しは安堵の様子を見せた。
『代わりに言いたい事を言ってもらって。どうもありがとうございます』
「任せなさい。って…言いたいところなんだけどね。実はアタシも、バッドニュースを あなた達に伝えなくちゃいけないの」
『だと思いました。それで、今度はどんなトラブルです?』
「…TRIGGERといっしょ の、打ち切りが決まったわ」
これには、3人だけでなく。私も、そして後ろで聞いていた各部署のスタッフも。言葉を発することすら出来なかった。
そんな全員を見渡して、姉鷺は あえてゆっくりと、言葉を紡ぐ。
「…右を見ても、左を見ても、問題は山積みよ。むしろ、問題しかないわ。
アタシ達は、あなたの指示に従う。これから、どうする?まずは、何から手をつける?
さぁ。ゆく道を、示してちょうだい。プロデューサー」
大きく息を吸い込んで。重たい頭を持ち上げる。そして出来る限り胸を張る。
そうして周りを見渡せば、スタッフ達と姉鷺は、ひとつ大きく頷いた。
皆んなが、指示を仰いでいる。彼らは、私について来ようとしてくれている。
そうだ。私が、守ってみせる。スタッフ達も。この場所も、TRIGGERも。