第86章 あの人に近付いちゃ駄目だ
和かにステージから降りて来た陸は、はいどうぞ!と。私にその知育玩具を差し出した。
『ありがとうございます。お手を煩わせましたね』
「気にしないで!オレも楽しかったですから」
しっかりと箱を受け取る。
その時、陸の後ろからお父さんとお母さん…もとい、大和と三月が にゅっと顔を覗かせた。
「こーら、リク。誰がお父さんだって?この歳で、5人の子持ちって…勘弁してもらえますー?」
「おっさんはまだいい方だろ!オレなんか、性別の壁すら乗り越えちまってんだぞ!」
さらに、その後ろから環と壮五が現れる。
「ふふ。僕はどこのポジションなんだろう。陸くんが長男って事は、お兄さんじゃないもんね」
「そうですね、お兄さん役はオレがもらっちゃったんで…
あ!じゃあ、お兄さんじゃなくて、お姉さんで!」
「え…。あ、うん、頑張って…みるよ」
「頑張んなくていいっての。
なーなー、俺は?俺は何役?」
「環は…うーん…。あ、犬?」
「りっくん ひでぇ!!」
「ご、ごめん!ずっと、飼ってみたかったんだから…それに、普通に弟役じゃ面白くないだろ?」
「べつに、そこはおもしろくなくていーから!」
いよいよ、わいわいという表現では収まらなくなって来た頃。一織とナギも会話へ合流。
「ワタシは、どのような役柄をもらえるのでしょう。考えただけでワクワクします」
「じゃあナギは、外国からホームステイに来てる留学生!」
「OH…それは、ファミリーとは言えませんよ」
「六弥さん。こんな例え話に、本気で凹まないで下さい」
「一織は、オレの弟ね!」
「聞いてませんよ。それに、丁重にお断りします」
より一層の盛り上がりを見せる彼らから、そっと距離を取る。すると、隣にTRIGGERメンバーが並び立った。