第86章 あの人に近付いちゃ駄目だ
私がこくんと頷くと、進行がマイクを通して こちらに話しかけてくる。
《 おめでとうございます!なんとも早いビンゴで、文句無しの一番乗り!
では、そんな幸運なあなたには、これから景品を選んで頂きましょう!
1から30までで、お好きな数字をひとつ、仰って下さい!その数字で、獲得出来る景品が決定します! 》
なるほど。ビンゴではよくあるパターンだ。
いち早くビンゴしたからといって、良い景品が当たるとは限らない。重要なのは、むしろこれから。くじ引きの要領で、ハワイを引き当てなくてはならない。
そして、私が選んだ数字は…
『では…8番でお願いします』
《 8番ですね!さぁ、何が出るかなー!? 》
進行は、手元のフラットファイルに目を落とす。
「キミが選んだ8番…楽の数字だね」
『はい。これは、楽にもらったカードですから。最後まで、楽に賭けます』
「おう!大船に乗った気でいろ。なにしろ俺はもってる男だからな」
「はは。楽はそればっかりだ!」
そして。進行の男が顔を上げる。どうやら、確認が終わったようだ。
果たして結果は…
《 8番の景品はー…おままごとセットでーす!》
7人と3人と私は声を揃えて、たった1文字の言葉を吐き出した。
は?
と。