第86章 あの人に近付いちゃ駄目だ
「オレっ、プロデューサーさんがビンゴになるように念じます!ラストは何番ですか!?」
『あ、えぇっと…11番ですね』
「はい!分かりました!
11番〜11番〜〜っ、来い 来い!11〜〜っ」
目をぎゅうっと閉じ、ステージの上へ念力を送る陸。
『七瀬さん…自分のカードを放り出して、他人のビンゴをこんなにも本気で願えるなんて!なんという、圧倒的な天使力!!ありがとうございます!』
「天使力ってなんですか。大体、祈られて感謝するあなたも、念じれば目当ての数字が出ると思ってる七瀬さんも、どちらも平和な頭を」
《 11番! 》
「…え、うそでしょう」
私と陸は、手を取り合って喜んだ。皆んなも笑顔で祝福してくれる。
「Fantastic!」
「まだ4つしか番号出てないのにビンゴって…ちょっと、お兄さんびっくり」
「おぉーー!中崎さん、すげぇー」
「おめでとうございます!
あれ?環くんは、まだ1つも空いてないね」
「う…ま、真ん中は空いてる…」
しかし。このビンゴが成立した後がやっかいだ。私はどうも、ビンゴ!と声高らかに宣言するのが苦手だ。なんだか恥ずかしい…そう思うのは、私だけだろうか。
「ビンゴー!」
『が、楽!?』
「なんだよ?ほら。当たったんだから、カード掲げて でけぇ声で宣言しろよ」
楽が、私の肩代わりをしてくれた。すぐに、注目がこちらに集まる。
龍之介が、とん。と 私の背中を押してくれる。
「春人くん、前に出て景品もらっておいで。ハワイが当たるといいな!」