第86章 あの人に近付いちゃ駄目だ
環は、カードの真ん中の穴に人差し指を突っ込んだ。それから、ウキウキとした様子で私に語り掛ける。
「あんたは、何の景品狙ってんのー?」
『そうですねぇ。やはりここは…』
「テレビでしょ。あの大きいの」
私の代わりに答えたのは、どこからか現れた天だった。その両隣には、陸と一織の姿もある。これで、IDOLiSH7とTRIGGERの全員が顔を揃えた事になる。
『どうしてテレビだと思うんですか』
「だって、キミの部屋のテレビ…すごく小さいじゃない」
「えっ!ま、まさか それじゃ…プロデューサーさんって、もしかして貧乏…」
「七瀬さん。御本人の前でそうハッキリ言ってしまっては、過剰に傷付けてしまいますよ」
「た、たしかに一織の言う通りだ…
ごめんなさい!プロデューサーさん!」
勢い良く頭を下げる陸。私は突っ込まざるを得ない。
『いやいやいや待って下さい!私は特段 貧乏という訳では』
「そうなんだよ七瀬。こいつ、こう見えて凄い浪費家なんだ。貯金もろくに出来なくて、テレビを買い替える金もねぇんだぜ」
『ちょ、楽。訳の分からないノリ方をしないで下さいよ!』
「中崎さん…そうだったんですか!僕なんかが偉そうに口を挟むのもおこがましいのですが、ある程度の貯蓄はしておいた方が良いと思います!人生何があるか分かりませんから。
それより、浪費というのは具体的にはどのようなものなんですか?やはり、飲み代やギャンブルでしょうか…。一度ハマると、なかなか抜け出せないと聞きますし…」
「そーちゃん、マジレスこぇー」
天の遊び半分の告発と、楽の悪ノリのせいで、話は変な方向へ走り出してしまったが。
とにかく、お楽しみのビンゴゲームは始まった。