第85章 かっけぇわ
「了さん!こんな場所で、そんなに大々的に引き抜きやんないでよ!」
「優秀な人材に声を掛けるのに、時と場所なんて選んでられないよー。僕はいつだって、自分に正直に生きるのさ!
はいこれ名刺ね」
『あ、ありがとうございます。しかし私は』
私と了の間に、飛び込んで来た百。彼はそのまま叫んだ。
「駄目だってば!ほら了さんってさ、優秀な人材は好きでも、退屈な人は嫌いでしょ!?」
「うーん。退屈はやだねぇ。反吐が出そうだ」
「だよね!だから、やめといた方がいいって!春人ちゃん、この見た目通りで超つまんないから!」
『は?』
「ふーん、そうなの?」
「そうそう!ぜんっぜん遊んでくれないし、ご飯も全然美味しそうに食べないし、ゲームだってめっちゃ下手!」
なぜ百は、ここまで私を貶すのだろう。しかも、こんなに必死になってまで。
私とツクモ新社長を繋げれば、間違いなくTRIGGERは飛躍の一途を辿る。それは、Re:valeにとって望むべき展開ではない。だから百は、私から了を遠ざけようとしているのか。
…なんて。
そんなわけ、絶対にない。
彼の器は、そんなに小さくないから。いつだって百は、自分達と共にTRIGGERやIDOLiSH7を上へ上へと導いた。
そんな百が、今こんなにも懸命に、私を了に近付けまいと頑張っている。
きっと、それなりの理由があるはずだ。
「へぇ。ねぇ百。
僕には、いっぱい遊んでくれるしご飯を美味しそうに食べるしゲームも凄く上手っ!
っていう、惚気に聞こえるんだけど…?本当のところは、一体どうなん」
『あ、っと…すみません。私、そろそろ行かなくては。もうすぐ、ビンゴ大会が始まるので。
目当ての商品があるんですよねぇ。あはは。
ですので、私はこの辺りでお暇致します』