第11章 本当に…ありがとう
支配人に連絡をし、レストランの特等席と 最上階の部屋をおさえてもらった。
そして溜まっている雑務を片し、仕事用のスーツから 少し洒落た装いに着替える。
シャツは白から黒に。ネクタイは華やかなバロックタイに。タイピンやカフスボタンは、色石の入った物を。
髪型もばっちりセットして、もはや死角なし。姿見の前に立つと、我ながらイケている。とか思ってしまった。
駐車場まで来て思ったが、さすがにバイクで行くのは間違っている気がする。
私は社用車に乗り換えようとした。その時。
「あら、随分とおめかしして」
姉鷺の声に振り向くと、そこには当然TRIGGERの面々も揃っていた。
「… “ いい感じ ” 」
顎に手をやって、呟く天。
「おう。すげー “ いい感じ ” 」
天に乗っかる楽。
「うん!本当に、すごく “ いい感じ ” だよ!」
龍之介までもが合わせに来た。
『あぁもう分かりましたよ。私が今朝送ったラビチャが気に食わなかったんですね。せっかく報告したのに』
「お前な。だからあれは報告の内に入らねぇんだよ!なんだあれ」
どうやら全く意味が伝わっていなかったらしい。それは申し訳ない事をした。まぁ全く申し訳ないとは思っていないが。
「そんな格好をしてるって事は、今から会いに行くんだね」
「あの女の人と、コンタクトが取れたのか?!」
天の言葉に、龍之介が反応する。
『はい。“ いい感じ ” に事を運べていますよ』
「もうそれはいい!今から行く場所ぐらい、ちゃんと言ってけ」
楽は額に手をやって、かぶりを振る。
『アールロイヤルホテルに行ってきます』
「「「「ホテル…」」」」