第85章 かっけぇわ
大手テレビ局の記念パーティというだけあって、それはもう煌びやかだ。
眩いばかりのシャンデリア。贅を尽くした料理の数々。長距離走も出来そうな広々とした会場。
そして。そんな広大な会場にひしめく、著名人達…!
あぁ。目がチカチカする。どこを見ても、知った顔しか存在しないという異常空間。
『挨拶…挨拶周りに…』はぁはぁ
「春人くん…」目がもうどこかに
漏らさず残さず御偉方に挨拶をする為に、プランニングはバッチリ行なった。その為に、わざわざいつもより早く出社して準備をしたのだ。
まず一番最初にすべき事。それは、酒の入ったグラスと料理を盛った皿を手にすることだ。
4枚の皿にささっと料理を持っていく。そして完成したそれをメンバーに手渡した。
「意外だな。あんたの事だから、料理はそっちのけで挨拶周りに消えるもんだと思ってたぜ」
『パーティ会場で、名刺ケース握り締めて歩き回ったんじゃ浮きまくりますよ。
最低限のマナーです。こういう社交場では、飲食を無視してはいけません』
「うん。そうだね」
「春人くんは、こういう場所にも慣れてそうだもんね。心強いなぁ」
『というわけで早速、それを片手に挨拶周りを』
私がキラリと会場に目を向けた、その時。楽は明後日の方向へ足を踏み出した。
「お、ほら。あっち見てみろよ。居るだろうなとは思ってたけど、やっぱ招待されてたんだな」
『あっ、ちょ。楽 待って下さい!先に挨拶…』
「まったく。子供みたいにはしゃいでる」
「あはは。そう言わないで、俺達も行こうよ。勿論、挨拶周りも後でちゃんと行くからさ」
確かに、彼らとの交流も大切だ。挨拶周りと交流。順番がただ前後するだけ。と 私は自分を納得させて、楽の後を追った。