第85章 かっけぇわ
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夕刻。八乙女プロダクション、自仕事部屋。
私はTRIGGERメンバーを待っている間、録画していた歌番組を観ていた。
「プロデューサー。着替え終わったよ」
「なに観てるんだ?生…じゃねぇな」
『先日、深夜帯に放送された歌番です』
画面では、3人組アイドルがトークを繰り広げていた。
私の隣に立って、龍之介もテレビに注目する。
「最近、増えたね。こういう3人組アイドル。気にし過ぎかもしれないけど、俺達に似てる気がする」
「明らかに意識してるでしょ」
そう。今まさに画面に映る彼らは、TRIGGERに酷似していた。衣装も、曲調も、キャラクターも雰囲気も。
そして龍之介がさきほど言った通り、この手のアイドルを最近よく見かけるようになった。
『少数なら “ パクリ ” ですが、大勢が真似ればそれは “ 流行 ” になります。良い兆候ですよ。このTRIGGER旋風に乗らない手はない。
このクールでラグジュアリーなアイドルの先駆けは、TRIGGER。この流行を起こしたのはTRIGGERだと。皆、認知していく』
にやりと口角を上げる私。TRIGGERの3人は、改めて画面に視線をやる。