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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第84章 その日が来る事を心待ちにしています




「うん。分かった。
ありがとう、エリ」

『いえいえ』

「あっ、でも、あれだよ?
口にするのが苦手なだけで、心はいつでも君を想ってるから!」

『あはは。分かってる分かってる』


何を誤解されると思ったのか、龍之介はあせあせと弁明した。

というか。好きだとか愛してるとか言うよりも、いま龍之介が口にした言葉の方が高難易度のような気がするのだが。


『それにしても。龍は、天や楽には割と好きだって言ってるのにね?』

「そりゃね。やっぱり、ライクとラブは違うから…」

『たしかに。でもそんな、アイラブユーを伝えるのが苦手な龍が、どうして急に そんな考えに至ったの?』

「それは」


龍之介は、また私を自分の方へ引き寄せた。そして、後ろ髪を大きな手で撫で付ける。


「エリと過ごす時間が、どうしようもなく大切で。愛しいって、改めて思ったから。
少しでもこの感謝の気持ちを、君に伝えるには何を言えば良いかなって考えたんだ」

『感謝?』


私は、顔を上げる。すると、龍之介は優しい笑顔をこちらに向けた。


「辛い出来事があった日の夜。ふいに故郷を思い出した夜。どうしようもなく寂しい夜、ふと思う時もあったんだ。
1人で過ごす夜が、寂しいなって」

『…誰かに、隣にいて欲しかった?』

「うん。でも、誰でも良かったわけじゃないんだよ。俺の心の隙間を埋められるのは。どうしたって、他の人じゃ無理なんだ。

だから、君がこうして今、隣にいてくれる事が嬉しい。
ありがとう。エリ」


指先で、おっとりと頬を撫でる龍之介。
私はゆっくりと目を閉じて、その滑る指先を感じる。


『私も、嬉しいよ。私を、龍の隣に置いてくれてありがとう。

あのね、私も龍しか見えてないよ。
どんな格好良い最強のアイドルに想われてても。たとえ本物の王子様に甘い言葉を貰ったって。私が幸せを感じられるのは、龍の隣だけだからね』


伝えると、龍之介は本当に嬉しそうに笑って。私の額に唇を落とすのだった。

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