第84章 その日が来る事を心待ちにしています
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『りゅ、之介…っ、ゆっくり…ゆっくり、して?』
「うん、そうだね」
『龍…優しく、して』
「…うん。優しく、したい。いっぱい、優しくするよ。エリ」
大きなその背を丸めて、目尻から流れ落ちる雫を、龍之介は唇で受け止める。
その後は、甘い甘い口付けが待っていた。彼の舌先が、私の口中に入り込むと、塩辛い味が広がった。
ずっと、待ち望んだキス。私の秘部が1人でに、彼の物をキュンと締め付けた。龍之介は、ゆっくりと腰の動きを再開させる。
ぐち、ぐちっと、粘着質な水音が部屋に響く。
『ん…〜〜んんっ、』
「ッ、ん…」
上も下も、気持ち良すぎて溶けてしまいそう。生理的な涙が、再び私の瞳を濡らす。
龍之介は顔を持ち上げると、真剣な表情で。真剣な声色で、告げる。
「エリ…好きだ」
『!』
「好きだよ」
あぁ。なんだ。私…。私も、龍之介が好きだ。
こんなにも、ただ好きだ。
何を無意味な事で頭を悩ませていたのだろう。
紙一重だとか、彼を選んだ理由とか、そんなの大した問題じゃなかったのに。
だって私は、こんなにも彼を愛している。
照れ屋で、愛の言葉を多くは使わない龍之介。でもそんな彼が、私を想い一生懸命に紡いでくれる、好きという短かくも確かな愛の言の葉。
そのたった2文字をもらうだけで、私の胸には、温かで幸せな気持ちが満ち満ちてゆく。
『…私も、好き。龍が、好き』
「エリ…。うん。ありがとう」
ぎゅっと、互いの体を抱き締める。心も、身体も満ち足りていく。
達した後も、私達は相手を離そうとしなかった。まだ足りない。もっと欲しいと、ひたすらに求め続けた。
そして時間も忘れ、何度も何度も愛し合うのだった。