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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第84章 その日が来る事を心待ちにしています




「エリ?」

『……ん。ごめん、何?いま何か言った?』

「いや…難しい顔、してるなって思って」

『そんな事ないよ?』

「そうか?なら、いいんだけど。
で、本当に教えてくれないの?」

『ふふ、教えてあげない。って、言ったらどうする?』

「うーん…そうだなぁ。
教えてくれる気になるまで、悪戯してみようか」

『何それ素敵。悪戯されたーい』

「え、えへへ」

『ちょっと龍!自分から振っておいて照れるのやめてくれない』

「あはは。ごめん!」


照れ笑いを浮かべた龍之介は、そのまま瞳を すぅと細める。


「エリがどうして俺を選んでくれたのか。どうしても、知りたいな」

『それなら、告白した時にも伝えたでしょ』

「うん、そうだね。でも、何度でも知りたい。何度でも聞きたいんだ。君の口から」


親指の腹を、私の下唇に ふにっと優しく押し当てた。もう片方の腕は、私の腰の後ろへと移動する。
そして、低くて甘い声で私を誘惑するのだ。


「どうしても教えてくれないって言うなら、今度はエリの体の方に訊いてみようかな?」

『…だーめ』


私は、するりと身を躱す。龍之介の腕は虚しくも空を切った。


『素敵なお誘いだけど、私はこれから調べ物があるから。ちょっと自室に籠るね』

「…調べ物って、棗 巳波くんの事?」

『正解。どうしても、ナギの言葉が気になってて。
どうして彼が、私の過去を知ってるのか。桜さんと彼の関係も。ネットに載ってる情報じゃ、そこまで分かるとは思わないけど。
とりあえず、調べられる範囲で棗巳波の事を調べてみ』

「駄目だ」


龍之介は私の言葉を最後まで聞かず、語気を強めて言い切った。

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