第82章 TRIGGERを独り占めだね
『それはなんとも、贅沢ですねぇ』
「ははっ。なら本当に、住み着いちゃう?ここに」
「でもやっぱ、島にたった4人じゃ寂しいよな」
『じゃあ、増やします?』
「どう頑張ったって増えねぇだろ」
「ねぇ春人くん。俺、子供は野球チームが作れるくらい欲しいな」
『ふふ。11人ですか。頑張ります』
「それだとサッカーだから」
「っつか増えねぇってんだろ」
隣に寝転ぶ天が、こちらに寝返りを打って問い掛ける。
「プロデューサー。ボクの子供も、産んでくれる?」
『まぁ、子孫繁栄の為ですからね。やぶさかではありません。龍の許可を取ってくれれば』
「え、うーん…どうしようかなぁ。悩ましい」
「キミとボクの子供が見れるなら、ここに住み続けるのも…幸せかもしれないね」
「いやいや、産む役は春人なのか。それでどうして、龍の許可がいるんだよ」
無人島ハイは、まだまだ治らない。
私達を襲った非日常が、私達をどんどん狂わせていく。
『私、実は女なんですよ』
「は?」
「あはは。楽は結局、最後まで自力で気付けなかったね」
「鈍いを通り越して、もはや病的」
「お前らまで変なギャグに乗っかるなよ。笑えね…いや、笑えるかもな。そんな冗談も、ここでなら面白い気さえするよ」
そう言って楽は、白い歯を覗かせてニカっと笑った。
『そうそう。あまり細かい事ばかりを気にしていると、楽の子供。産んであげませんよ?』
「それは…寂しいな」
『……ふふっ』
「あはは!」
「ははっ」
「ふふ」
4人は満点の星空の下、穏やかな波音に揺られながら…ようやく眠りに就いたのだった。