第82章 TRIGGERを独り占めだね
『水問題は解決出来たところで、次はやはり食料の調達でしょうか』
「まだやるのか…」
『そりゃやるでしょう。死にたいんですか?』
「無人島での食料といえば、やっぱり魚かな?」
「いいね、魚!釣竿があれば、皆んなで釣りが出来るんだけどなぁ」
龍之介の一言で、私達はある場所へ向かう。
それは、船を停めた位置からほど近くにある海岸。ここには、様々な場所から流れ着いたであろうゴミが散乱していた。
ゴミとは言ったが、今の私達からすれば、それはゴミではない。宝の山である。
「あっ、ほら見て!リールは壊れてるけど、釣竿があるよ!」
「こっちには釣り糸があったぜ。まだ使えるかもな」
「発泡スチロールがあるから、これを小さく千切ればウキの代わりになりそう」
3人は、見事なお点前で道具を揃えていく。私はというと、使えそうな道具をいくつか見繕った。
嫌味なほど青いレジャーシートや、毛羽立ったロープ。それに、使えるか怪しいライターなどなど。何に役立つか分からないが、とりあえず拝借しておこう。
そうこうしている間に、龍之介が簡易的な釣竿を完成させた。
「はい。リールはないから、もしウキが沈んだら糸を直接引き上げてね。あ、その時は糸で手を切らないように気を付けて」
「おう、任せろ。
ん?龍はどこ行くんだ?」
「俺は、辺りに魚がいるかどうか、ちょっと潜ってみるよ。そっちはよろしくね」
「分かった。いってらっしゃい」
釣竿を楽と天に預け、龍之介は海の中へと消えた。
早速、私達は海中に釣り糸を垂らした。
針は、曲がった釘。餌は、その辺の虫。こんなもので、一体どれくらいまで戦えるだろうか…