第82章 TRIGGERを独り占めだね
『御礼と言っては何ですが、ちょっとしたサプライズがあるんですよ』
「キミのサプライズって…どうせまたドッキリとかでしょ」
「おいおい勘弁しろよ。オフでのドッキリは」
「ドッキリなら、事前にサプライズがあるなんて言わないよね」
『いや、御礼だと言ってるじゃないですか。どれだけ信用ないんです。普通に、嬉しいサプライズですから』
訝しむような3人の視線を受け流し、私は告げる。
そして、つつがなく食事を終えた後。早速、ある場所に向けて移動を開始する。
赤いオープンカーで、潮風を受けながら到着したのは…
海岸だった。それも、プライベートビーチである。
観光客の影がひとつもないそこは、まさに楽園。空で眩しく輝く太陽も、広大で青い海も、私達の為だけにあるようだと錯覚してしまう。
「すげぇな…貸し切ったのか?えらく豪勢じゃねえか!」
『いえ。実は、ある方の御厚意でお借りしたんですよ。
そのある方とは、昨日の撮影地を管理しているオーナーさんなんですけど』
「あぁ!昨日、見学に来てたね。俺のファンだって言ってくれて、握手もしたんだ」
『そうです。ここは、その方のプライベートビーチで。
沖縄の星である龍に、ぜひ羽を伸ばして欲しいと言って貸して下さったんです』
「沖縄の星だなんて、照れちゃうな。えへへ…」
きっと、そのオーナーも沖縄の事が大好きなのだろう。そして、そんな沖縄を背負って活躍している龍之介の事も、大好きなのではないだろうか。
照れ笑いをする龍之介を前に、天と楽は微笑む。
こんなにも綺麗な沖縄の海を独占出来たのは龍之介のおかげだと、2人は彼に御礼を口にするのだった。