第82章 TRIGGERを独り占めだね
シャワーを浴びながら、昨夜の事を思い返す。
楽と合流した私は、部屋飲みをしようと企てた。そして天にも声を掛けようと、2人で彼の部屋に向かったのだ。しぶしぶ付き合ってくれる事になり、どうせ部屋飲みなのだから、誰の部屋で飲んでも同じだろうという運びになる。
そのまま天の部屋で酒盛りをしていると、私からのメッセを見た龍之介が合流。
後の事は…もう、説明は不要だろう。
『あー…久々に飲んだなぁ…』
頭の奥に痛みを覚え、こめかみを押さえる。
普段の私なら、自分のキャパシティ以上の酒を飲んだりしない。だが、昨夜は随分と羽目を外してしまった。
ただ単純に 飲みたい気分だったのと、今日がオフであるという事も起因した。
しかし。いつまでも締まりのない顔をしていては、また天に怒られてしまう。
風呂から上がり、支度を済ませた私は、表情を引き締めて朝食会場へと向かった。
————
「まったく…本来であれば、キミがしっかり皆んなを管理しなくちゃいけない立場でしょ。それなのに、2人と一緒になって飲ん倒れるなんて。プロデューサーとしての自覚が足りないんじゃない?」
『ごめんなさい。このゴーヤーのお浸しを差し上げるので、どうか許してもらえませんか』
「嫌いなもの押し付けないで。全く反省してないね」
「おい天。飯が不味くなるからもうやめろって」
「ゴーヤー もしいらないなら、俺が食べてあげようか?」
「…はぁ。もう怒る気力も尽きるよ」
言うと、天は手元の焼き魚に箸を入れた。
『これでも反省はしていますよ?未成年の前で、大の大人がはっちゃけ過ぎちゃったなって』
「反省してるしてる。でも龍の腹踊りは、すげぇ笑った」
「俺も反省してるけど、それを言うなら 楽が部屋の中でバク転して足の小指を棚にぶつけた時の方が笑ったよ!」
『え?私の手品は?』
「「覚えてない」」
「ねぇ。本当に反省してるんだよね?」