第11章 本当に…ありがとう
『…よく朝からそんなに食べられますね』
テーブルの上には、食パン2枚に ハムエッグ。サラダにフルーツが盛り盛りと並べられていた。
指示された量を作ってはみたが、さすがにこれは多いのでは?
「あれ?エリちゃん朝は食べない派?それはよくない!朝はしっかり食べないとね!」
私は食べ切れる自信は無いものの、とりあえずはハムエッグにナイフを入れる。
程よい半熟。さすが私。ナイス火の通り加減だ。
『まぁ、一応食べるには食べますが…いつもは体を動かしてから食べるので…』
「へぇ!偉いね!オレも朝は強い人。ちなみに千は全く駄目ー。
それにしても、なんで毎朝 運動してるの?」
あっという間に食パンを1枚ペロリと食べ進めている百。
『あぁ、それはアイドル……』
“ アイドル時代から続けている 体力作りの一環 ” そう口走りそうになった自分に驚きを隠せない。
「…アイドル?」
『ア、アイドルを支えるのには、体力が必要ですから!毎日走ってます』
「まっじめー!」
なんとか誤魔化せた。彼には、私がLioだという事はバレてはいない。百や千が知っているのは、私が本当は女であるという事実だけ。
いや それにしても、やはり彼といると毒気を抜かれる。
百の、真っ直ぐで綺麗な心は私を癒してくれる。純粋で、まるで子犬のような彼と ずっと居たいという考えが頭にチラつくほどに。
千の、ミステリアスで大人な雰囲気とは また違った魅力がある。
気が付けば、Re:valeの虜になっているではないか。このままズブズブと彼らにハマっていくわけにはいかない。
実際、昨日だって…かなりヤバかった。
最初は恋人の演技をしようと思っていただけだったのに…。百の名前を呼ぶ度、彼に愛される度、何が何だか分からなくなってしまっている自分がいた。