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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第81章 子供じゃないんだ、分かるだろ




もっと早く伝える事が出来れば良かったのだが。実は、これは社長命令。しかも、アポイントを取れたのがほんの1.2時間前だったのだ。


『この後はフリーだ、なんて言っておきながら…すみません。貴方だけ拘束する事になってしまって。
きっと今日は、家族と会う予定など入れていますよね』

「うーん、まぁでも社長命令なら仕方ないよね。うん!大丈夫だから気にしないで?」

『約束の時間は19時で、場所はここのホテルバー。そして今は16時。今からタクシーであちらへ向かえば、少しでも家族と会えるんじゃないですか?』


私は、腕に巻いた時計を見ながら言う。
ここから彼の実家までは、車で30分ほど。単純計算で、2時間は家族と過ごせる。


「そうだね。じゃあお言葉に甘えて、今から少し行って来ようかな?」

『はい!フロントに電話して、すぐにタクシー呼んでもらいますね』

「ありがとう。
…あのさ、エリ」

『…うん?』

「もし、君が嫌じゃなければ…一緒に来ない?」


遠慮がちに、問い掛けた龍之介。しかし私は、しばらく考えた後に首を振る。


『今日は、遠慮しておこうかな。一応私は業務時間内だから…
あっ、勿論 嫌な訳じゃないよ?本当は、私も会ってみたいしね。蒼太郎君、航ノ助君、瑚太郎君、あとお母様にも』

「あはは!凄い!弟達の名前、完璧に把握してるんだ!」

『ふふ。当然!
ほら龍、急いで支度して?少しでも長く、家族と一緒に過ごしてあげてよ』


私がそう促すと、龍之介は大きく頷いて笑う。久しぶりに家族との再会が叶うとあって、その顔はやはり晴れやかであった。

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