第81章 子供じゃないんだ、分かるだろ
『お疲れ様でした。この後はフリーなので、どうぞご自由に。
ただ、3人とも今日は海に入ったのでお疲れでしょう。ゆっくり体を休める事をお勧めします』
「俺は入ってねぇんだよ 砂にしかな!!わざと言ってるだろお前…」
それぞれのメンバーに用意された客室。その3部屋は横一列に並んでおり、皆 自室への扉に消えていく。
私は、龍之介の背中に声を掛ける。
『龍。少し話があるのですが』
「え、うん。分かった」
『ありがとうございます。部屋に入らせてもらいますね』
私の為にドアを大きく開ける龍之介。そんな私達を、とうに部屋へ入ったと思っていた天が じっと見つめる。
「……分かってると思うけど、ボクは今から休むから。あまり激しいのは勘弁してよね」
『貴方が想像しているような事は決して起こり得ません!』
「??」
1人だけ理解不能な様子の龍之介に、天ははっきりと言い放つ。
「やらしい事、しちゃ駄目だよ」
「しっ、しないよ!!」
龍之介は、顔を真っ赤にして叫ぶのだった。
そして、私達は2人でひとつのドアを潜る。天が変な事を言ったせいで、なんとなく妙な空気が2人を包んでいた。
「えっと…話って何かな?
もしかして俺、怒られたりする?」
『あはは。なんでそうなるんですか。怒ったりしませんよ。
実は、貴方に謝罪しないといけないんです』
今はまだ仕事中。しかも、謝罪案件だ。
私はエリには戻らず、春人のままで彼と向き合う。
「謝罪?なんだろう…」
『突然で申し訳ないのですが 実は今日、龍には人に会ってもらわなくてはいけなくなりまして』
「人に会う?それは構わないけど、誰に会うの?」
『…御堂グループの嫡子、御堂虎於という男です』