第81章 子供じゃないんだ、分かるだろ
『えぇ?ちょっと待ってヤバくない?もはやプロ。格好良すぎるって。ちょっと聞いて、あれ私の彼氏。私の彼氏なんだって!』
と、叫び出せたならばどれほど良かったろう。
私は心の中で そんなふうに発狂しつつ、顔が緩みそうになるのを必死で堪えた。
そんな私はさておいて。戻って来た龍之介を加えた3人は、アフタートークの撮影に入った。
濡れた髪を両手で後ろにかき上げ、龍之介は笑顔を弾けさせる。
「楽しかった!皆んな、俺の波乗り 見ててくれた?」
「バッチリ見てただろ!っつーか、相変わらず凄いな…」
「一度、大きくカールした波の中に飲まれたように見えたけど、あれって中で波に乗り続けてたの?」
「そうだよ!カールする波の中に入るライディングを、チューブライディングっていうんだけど、サーファーの憧れなんだ。
波の中はグリーンルームって呼ばれてて、サーファー達は皆んな その景色を見たくて、波を待ち続けるんだよ」
「へぇ!グリーンルームか。それがどんな景色なのか、俺も見てみたいな」
「ボクも。きっと、たくさん努力した人しか見られない景色なんだね」
「そうだね。でも、皆んなにも見て欲しいから、今度は頭にカメラ付けてチャレンジしてみようかな!」
これにて、サーフィンのアフタートークは終了。次は、天が別のサマースポーツに挑む撮影である。
彼がチャレンジするのは、夏の海といえばコレ。という定番のマリンスポーツだ。
それはもはや説明不要の、スキューバーダイビングである。