第2章 …なぁ。俺達、どこかで会ったか?
—————
『改めまして、本日からよろしくお願い致します。
会社に貢献出来るよう、尽力して参ります』
朝一で、社長室に挨拶の為出向いている。
「……昨日より男に近付いたか?」
そう映るのも当然だろう。
小さくもない胸をさらしで潰し。メイクも眉を太くするだけでなく、丸い目 そのものの形を変える為にテーピングまで施してあるのだから。
『…お褒め頂き光栄です。では、私はこれで。早速仕事に取り掛かります』
「…あまり、メンバーとの距離は詰めすぎるな」
『心得ました』
八乙女宗助は、私とTRIGGERが親密になるのを恐れている…?
何故だ。理由は?まさか本当に恋仲に発展するなどど考えているのだろうか。
まぁなんにせよ、私とTRIGGERは 一連托生なわけではない。
期間限定の間柄に過ぎないのだ。深入りしないのは、むしろ私の為になるのかもしれない。
彼らが最強のトップアイドルに登り詰めた後、何の心残りもなくここを去れるように。
『ん?』
通りがかったレッスン室から、音が漏れている。
これは…TRIGGERの曲だ。
私は無意味かと思いつつも、念の為ノックをしてドアを開ける。
そこには
少し驚いた様子の、八乙女楽の姿があった。