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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第2章 …なぁ。俺達、どこかで会ったか?




『…は、…はっ、は…』


数年前から、ほとんど欠かした事の無い日課である 早朝ランニング。


『あ、おはようございます』

「あぁおはよう」


犬を連れた老人とも、もう見知った仲だ。


私は足を動かしながら思考に耽る。

さぁ今日から…どうしたものか。

プライドの高そうな彼らが、突然現れた ぽっと出に、自らの命運を快く委ねてくれるはずがないよなぁ。

まぁそこは焦っても仕方がない。都度都度チャンスを貰って それに応えて、メンバーに認めてもらうしかないだろう。
私が使えると分かったら、多少は従ってくれるに違いない。



私が Lio としてデビューしたタイミングは、かなりの遅咲きだった。

それは何故か? 理由は簡単。

自分が納得出来るまで下積みをしたからだ。


理想の声、歌い方を習得出来るまでボイストレーニングを重ね。

それを可能にする為の体も作った。さらには 作詞作曲を自分で行えるように勉強もして。いくつか楽器も扱えるようになった。

ダンスだって、振りも自ら考えた。有名ダンサーのバックで使ってもらったりして 技術を盗んだりもした。


全ては、完璧な Lio の姿以外、客に見せたくないという思いから。

そして、自分が満足出来る仕上がりになった頃には かなりの時間が経っていた。というわけだ。


『…でもまぁ…その努力が、まさかTRIGGERに、認めて貰う為に役立つなんて…。本当に、人生何があるか、分からないよなぁ…』


私は乱れる呼吸の合間に、途切れ途切れな独り言をつぶやいた。

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