第10章 脳みそ溶けるかと思ったぐらいなんだから!
気持ちが良すぎて、魂が抜けるかと思った…。
でも、エリにはかなり無理をさせてしまったと思う。かなり自己嫌悪。
「うぅ、ごめんね…ちょっと、っていうかかなり…理性が飛んじゃったみたい」
こんな事を言っても、信じてもらえないかもしれないが。今日、本当は彼女と寝るつもりなどなかった。
エリは、やたらと取り引きにこだわるが。オレは彼女に見返りを求めるつもりなどなかったのだ。
彼女が助けてとオレに手を伸ばせば、無条件でその手をとって助けてやりたい。そう考えていたのに…
「…カッコ悪いね、オレってば。はぁ…。本当なら、なんの見返りなく エリちゃん達の事を助けてあげる予定だったのになぁ」
大人しくオレに腕枕をされていた彼女が、こちらを見上げる。
『モモは、気持ち良くなかった?』
うわ、まだその感じで接してくれるの?ラッキー!と思った事は態度には出さない。
もし態度に出してしまえば、即刻この恋人モードが強制終了されてしまいそうな気がしたから。
「気持ち良かったよ!気持ち良かったに決まってるじゃん!!いやむしろ良すぎて、脳みそ溶けるかと思ったぐらいなんだから!」
『あはは。良かった。私も気持ち良かったから』
なんだ、この可愛い生物は。いつものクールな趣も良いが、この素直でキュートな装いもまた良し!
あ、もしかしてこれがギャップ萌えというやつなのか?そうなのか…。なんて考えていたら、彼女が続けて口を開いた。
『私は、モモが私の事を抱いてくれて嬉しかった』
「え!?え、それって、どういう…」
もしかしてもしかして、エリもオレの事…!?
『自分が気に入った人とは 対等でいたいから。
もしも今回…モモが私の事を抱かずに、私のお願いだけを聞き届けてくれたなら。きっとモモとはもう対等でいられなかったと思う。
だから、ありがとう。モモのおかげで、明日からも貴方と同じ目線でいる事が出来る』
思っていたよりは、甘い答えが返ってきたわけではなかったが。でも、これはこれで嬉しかった。
きっと。彼女の、本当の 素直な気持ち。