第79章 知るか!バーカ!
龍之介の低い声に、未成年組は肩をビクリと揺らす。
「天はダサくないし、TRIGGERもダサくない。俺の事なら、どう言ったっていい。
でも、他のメンバーやTRIGGERを侮辱するのは絶対に許さない」
高校生に手を上げこそしないが、彼の目は その鋭さだけで人を殺せてしまいそう。言わずもがな、大層 御立腹だ。
ちなみに、私もそろそろこの怒りを堪えられそうにない。
私は、後ろから龍之介の肩に手を置いた。
『龍』
「悪いけど、止めないでくれ」
『不愉快なのは、貴方だけじゃないんですよ』
言って、悠の前に歩み出る。
突然、割って入って来た私に、警戒心むき出しの悠。
「な、なんだよ!お前…」
『綺麗な、髪ですね』
「は、はぁ!?」
焦りまくる悠の前髪を、左手ではらう。そして、額を剥き出しにすると…
そこへ思いっきり、デコピンを食らわせる。辺りに、ゴビン!!という痛々しい音がこだまする。
「〜〜っい゛っ〜!?」
『私、デコピン得意なんです。手がデカイから』
「っっ、知るかよ!!」
「うへぇ〜…めちゃ痛そう…」
「亥清さんの額から、出血していないのが不思議なくらいの破壊力でしたね」
両手で額を押さえて、その場にしゃがみ込む悠。必死に痛みに耐えているのだろう。
そんな彼を見下ろして、私は語る。
『天は、TRIGGERは、ダサダサのダサなんかじゃありません。
イケイケの、イケです!!』
その場がシーーンと、静まり返る。そんな静寂を破ったのは、龍之介が噴き出した声だった。
「っぷ…!あはは!春人くん!イケイケのイケって、なに?俺、そんな言葉初めて聞いたんだけど!俺達、イケイケのイケなの?」
腹を抱え笑う龍之介は、もういつもの彼であった。