第79章 知るか!バーカ!
「周りからキャーキャー持てはやされて、調子乗ってるTRIGGERってのが どんな奴らなのかと思ってみれば。とんだ腑抜けじゃん。なんで何も言い返さないわけ?それともなに?オレが言ったこと、みーんな図星だったのか?」
「うーん、べつに図星だとは思わないけど。俺はただ、争い事が嫌なだけなんだよ」
「流石ですね。十さんは、風格というか…余裕があります」
「だな。っつーか、いすみんは、なんでそんなにTRIGGERのこと嫌ってんだろ。意味分かんね」
私は 一織と環の言葉に、うんうんと頷いた。
「はは!なんだよ、やっぱTRIGGERダセーじゃん。売られた喧嘩も買えないような男がいるグループとか!
そんなグループのセンターやってる九条天も、ダサダサのダサって事だよな!」
「…悠くん?いま、なんて言った?」
『あ。まずい』
龍之介はたしかに、滅多な事では怒らない。いくら泥を引っ掛けられようが、口汚く罵られようが、笑顔で躱す。
…追記。それらは全て、自分が対象である場合に限る。
優しい優しいこの男は、侮辱されるベクトルが仲間や大切な人に向いた際は、怒れる獣と化す。
「聞こえなかった?なら、何度だって言ってやるよ。
九条天は、ダサダサのダサだって言ったんだよ!」
「……訂正しろ!」
龍之介に備わる、唯一の怒りスイッチが、押された瞬間だった。