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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第79章 知るか!バーカ!




「TRIGGERなんか…全然カッコ良くない」


ずっと下を向いていた悠が、突如として発した毒のある言葉。思わず全員が、彼の方へと向き直る。


「歌だって、オレの方が上手い。ダンスもオレの方が出来る。
だから、オレの方がTRIGGERより絶対上だ!ふん」

「ふん!じゃ、ねえって!いすみん、マジで失礼!」

「驚きました…。四葉さんにも、人が無礼を働いていると気付ける感性があったのですね」

「普通にあるし!!」


悠は相変わらず、ギッと強い視線で龍之介を睨み付けている。初対面の人間に対し、ここまでの憎悪を向けられるものなのだろうか。

対する龍之介は、謂れのない暴言にも笑顔を崩さない。


「あ、もしかして悠くんもアイドルを目指してるのかな。ほらさっき、歌とダンスが得意だって言ってただろう?
いつか俺にも、見せて欲しいな。君がステージに立つところ」

「…はっ。言われなくても!
そう遠くない未来で、実現してやるよ。それであんた達は、歌って踊るオレを、馬鹿みたいに見上げるんだ。地の底からな」

「え、えっと」

『……』


これだけ言われても、龍之介は笑みを顔に貼り付けていた。しかし、さすがに表情は曇る。それでも、怒り出す事はしなかった。

彼は、滅多な事では怒らない。それが高校生相手なら尚更だ。いくら泥を引っ掛けられようが、口汚く罵られようが、笑顔で躱す。
大人の男の余裕とでも言おうか。素直に尊敬出来るし、格好良い。惚れ直しそうだ。

私がひっそりと龍之介への愛を募らせている間に、高校生達はワチャワチャと揉め出す。


「亥清さん。さすがに言い過ぎです」

「そーだそーだ!」

「TRIGGERは、実力のあるグループですよ。悔しいですが現時点では、Re:valeに次ぐアイドルはTRIGGERです」

「そーだそーだ!」

「私達の先輩に当たる方に、これ以上の失礼は控えていただきたい」

「そーだそーだ!」

「四葉さん!ちょっと黙っててくれませんか!気が散るんですよ!」

「だって、いおりんのが俺より上手いこと言ってくれっから…!っていうか、マジそれ全部 俺が言いたかったことなんだけど!何で分かんの?天才だから?」

「はぁ。話が前に進まない…」

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