第79章 知るか!バーカ!
私達は、ゲームセンターが立ち並ぶ一角へとやって来た。
最新のガシャポンや、レトロなクレーンゲーム。店の外からも見えるそれらに、心が躍る。
「あはは。春人くんは、本当にゲームが好きだよなぁ」
『う…。まだ何も言っていないのに』
「キラキラした顔で、ゲームセンター見てたからね。すぐに分かるよ。君の好きな物くらい」
龍之介は、愛おしそうな瞳で私を見つめる。嬉しくて、恥ずかしくて、心がむずむずする。
「俺はゲーム苦手だけど、君がやってるのは見てみたいな。どこか入ってみようか!」
『え!?良いんですか!?じゃ、じゃああそこにしましょう!シューティングの最新機種が導入され』
私が、とあるゲームセンターを指指したその時。どん!と、背中にすごい衝撃が走る。そしてそのまま、体全体を締め付けられる。
「中崎さーーーん!!」
『く、苦しい…』
「環くん!」
「…ん?あんた、誰。なんで中崎さんと2人でいんの?」
「あ、分からないかな!俺だよ、俺!」
「???」
私を後ろからぎゅーっと抱きすくめながら、環は龍之介を見て首を傾げる。
そんな私達の元に、さらに人影が2つ駆け寄って来る。
「ちょっと四葉さん、急に走って行かないで。追い掛けるこっちの身にもなって下さい」
「なんでオレまで追い掛けなきゃいけないわけ!?いい加減離せよ和泉!」
現れたのは、一織と…。一織に腕を掴まれている青年。
環よりも若干暗い水色の髪。その髪は、耳辺りで綺麗に切り揃えられている。
生意気そうな目元が印象的な彼は、制服姿だ。
環達と同じ制服である事から、3人は同じ高校である事が窺い知れる。