第79章 知るか!バーカ!
食事を終えたら、次はいよいよショッピングだ。どのショップも、魅力的な服や小物を目一杯ショーウィンドウに飾り付け、見ているだけで気分をウキウキさせてくれる。さて どこに入ろうか、目移りしてしまう。
『私が龍の服を選んでも良いですか?』
「勿論!嬉しいな、君に見繕ってもらえるなんて」
彼氏の服を選ぶなんて、なんと彼女っぽいのだろう。私は意気揚々と、良さげなお店に飛び込んだ。
『メンズファッションで春夏の定番ともいえるマリンスタイルですが、今年はセーリングやヨット、海軍など、海岸を連想させるようなマリン風スタイルが 特に注目を集めそうですよ!』
「さすが!詳しいね」
カチャカチャと、立ち並ぶ洋服達に目を通す。そんなふうに嬉々として洋服を選ぶ私を、龍之介は微笑ましい顔で見つめていた。
『カジュアルなアイテムや明るい色を多く取り入れて、親しみやすさを感じさせるコーデに仕上げたいですよね』
「なるほど…いつも自分で服を選ぶ時は、ほとんど直感だからなぁ。そんなふうに深く考えた事なかったよ」
私はまず、1着のストライプのシャツを選び取る。そして次に、ボーダーのギアシャツを手に持った。その2つを交互に龍之介に当てがって、そのまま告げる。
『…まぁ、色々と講釈を垂れておいてなんですけど…正直、トレンドとかは二の次いいかなって思います。衣装ならともかく、私服ですしね。
私が、マリン系を推した理由に深い意味はないんですよ。
ただ…龍にはやっぱり、海が似合うから。 へへ』
「……っ、両方買わせてもらいます」