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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第79章 知るか!バーカ!




『でも、分かった。龍は私と、デートらしいデートがしたいと』

「うん。あ、でも、週刊誌とかに撮られちゃうといけないから、半ば諦めて」


とん。と、龍之介の唇に指を乗せる。


『しぃ。任せて。何も心配要らない。
私が、龍に最高のデートを約束するよ』

「……」
(な、なんで俺の彼女はこうも男前なのかな…)


————


私達は約60分程の支度時間を経て、外へと繰り出した。やって来たのは繁華街。若者達がファッションやグルメなどを楽しむ街だ。

すれ違う人々の注目が、私達へと集まる。


「わっ…、ちょっと見て見て!あの2人」

「うわ、ヤッバ…レベル高い!」

「ね。超カッコイイー!モデルさんとかかな?」


そんな街行く人の声を拾い、龍之介は声を潜めて私に語り掛ける。


「すごい…全然、俺だってことバレてない。なんだか、見られてはいるけど」

『私の技術を持ってしても、龍のイケメンオーラを消す事は出来なかったという訳ですね』


私の隣を歩くのは、龍之介であって龍之介にあらず。

こういう時の為に仕入れていた、黒髪のウィッグを着用。顔を隠すどころかオールバックに仕上げている。

ちなみに。どうしてこの髪型を選んだかと言うと、さっき風呂場で見た龍之介があまりに色っぽくて惹かれたからだ。まぁ、それは本人には内緒にしてある。

変えているのは髪型と髪色だけではない。顔をテーピングで引っ張り上げ、目元や輪郭も 普段のイメージとは違うものに仕上げた。

今のところ、彼がTRIGGERの十龍之介だと気付いているものはいない。


『でも、すみません』

「どうして謝るの?」

『だって、さっきはあんなに大見得を切ったというのに。私が、この姿じゃ…』


そう。私は、女ではなく春人の姿で彼の隣に立っていたのだ。

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