第78章 私…彼氏が出来た
『えっと…べつに何も、ないよ?』
「お、俺の方だって、特に何も…っていうか、楽と楽しく飲んだだけだから!」
私達は、目の前に座る相手に向けて笑顔を送る。
『……』
(龍の嘘つき。龍はすぐに顔に出るから分かりやすいんだから。多分、楽と私の話をしてきたんだろうなぁ。
まぁ流石に 私との約束を破って、Lioと付き合う事になった!とかは言ってないとは思うけど)
「……」
(エリは嘘つきだ。エリは隠し事があると妙に態度が明るくなるから、意外と分かりやすいんだよな。
今日会って来たのって、もしかして男で…その上、告白とか…されてたりして)
『…はは』
「あはは」
『「……」』
(相手の事を全部知りたい、なんて。そんな事を考えてるって知られたら、呆れられちゃうのかな)
年齢は大の大人ではあるけれど、私達は 恋愛はそんなに慣れてない。
今はまだ、相手に嫌われる事や呆れられる事に怯えていて。ちょうど良い距離感を探っている。
でも
『龍、あのさ…』
「うん」
『私、龍とこうして一緒にいられて、楽しいし幸せだよ』
「!!
ありがとう。俺も、エリの隣にいられて幸せだ」
思った事、感じた事は出来るだけ言葉にしていこうと思う。そうやって相手を大切にして、思いやって、恋人としての時間を過ごしていこう…
そうすれば私は、貴方の隣に ずっといられるはずだから。