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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第78章 私…彼氏が出来た




「龍…お前、もしかして…
俺に遠慮してんのか?」

「えっ!?」


言うと途端に、龍之介は図星を突かれたような表情に変わる。俺は、やっぱりか。と溜め息を吐いた後 言葉を続ける。


「俺が報われない恋をしてる中、自分だけ恋人作って申し訳ないとか思ってんだろ」

「……半分くらい、違うかな」

「半分不正解なら、半分は正解じゃねぇか。
お前なぁ…俺は悲しいぜ。龍に、そんな心の狭いやつだと思われてたなんてな」

「い、いや!そんなことはないけど」


俺にとって龍之介は、仲間であり家族のような存在。こいつがどれだけ優しくて、良い奴だってことは、嫌ってほど分かってるつもりだ。


「たとえ自分が幸福じゃなかったとしても、仲間も幸せになれなくても良いなんて道理はねぇんだよ。
せめてお前らは、俺の分まで目一杯幸せになって欲しいって そう思う」

「楽は今…幸せじゃないのか?」

「ばーか。物の例えだろ。俺が胸張って、今を幸せに生きてるって言えないような生き方してると思うのか?」

「それは、思わないよ。楽は、楽を毎日一生懸命に生きてるもんな」

「はは!だろ?」


ちょうど2人のグラスが空になる。すぐさま2杯目を頼んだ。するとマスターが、慣れた手つきでお代わりを用意する。それを俺達の目の前に差し出すと、すぐにまたカウンターの中へと消えて行った。


「それにしても、気になるな」

「ん?何が?」

「ガードが固くて純真無垢で堅物な龍が、どんな女を選んだのか」

「い、言い過ぎじゃない!?」

「そうか?
ま、話を聞くより見た方が早いよな。会わせてくれんだろ?」


少しは表情が柔らかくなっていた龍之介だったが、その言葉でまた真剣な顔に戻ってしまう。
そして、その強張った顔をこちらに向けて言った。


「…ごめん。会わせる事は、出来ないんだ」

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