第78章 私…彼氏が出来た
「良かった。エリも俺と同じ気持ちで。
俺も、聞いて欲しい話も、聞きたい話も山ほどあるんだ。だから、これからもよろしくな」
『万理…。うん!ありがとう』
私からは言えない事を、万理が全部言ってくれた。
これからも縁を繋げたままでいたい。それを言う権利は、私ではなく万理にあったから。
彼の口からそれを聞けた事で、私は飛び上がってしまいそうなくらい喜んでいた。
「今度、千や百くん達も誘って飲みに行こう」
『うん、行きたい!
実はずっと気になってたんだ。旧Re:valeの事と…あと、万理の怪我の話。
もちろん、無理とは言わないよ。もし、話しても構わないと思えるんだったら いつか教えてね』
「うん。 エリになら、全部話すよ。むしろ、聞いて欲しい。それに、俺も気になってる。
その…Lio の話」
万理は辺りに人が居ない事を確認してから、こそっと私に耳打ちした。
どうやら彼は、私の秘密を知っているらしい。そして、それを公にしたくない事にも気が付いているのだろう。
万理が、私に古傷を見せても良いと思ってくれるのと同じで。私も、彼になら何でも打ち明けられる。
「あぁでも…あんまり深い話をしちゃ、彼氏に悪いかな」
『え…そういうもん?』
「そういうもんだ。特に彼、束縛強そうだし」
『そうかな。束縛はしないタイプだと思うけど』
「エリは男心が分かってないんだ。これは八乙女楽くんも、苦労するなぁ」
『ん?なんでそこで、楽の名前が出て来るの?』
「なんでって…付き合う事になったんだろう?八乙女くんと」
万理は、私の事を知り過ぎていると先述したが。前言撤回である。
やはり10年という月日は、鋭い彼の洞察をも鈍らせてしまうらしかった。