第78章 私…彼氏が出来た
環や天、龍之介に楽。彼らの気持ちは、私の知るところであった。
が、しかし。何を考えているのか、分からない男達もいる。
それは、百と千。
彼らは、分かりやすいように見せかけてはいるが、真意はそう単純ではない。
2人は、良く言えば大人で。悪く言えば、複雑な面がある。簡単に、腹の中を見せてはくれないのだ。
常日頃、好きだ好きだと口にしてはいるが。それを言葉通りに受け取っても良いものか悩ましい。異性として好いてくれているのか。はたまた、友達の延長上なのか。
もしくは…ほんのひと時の間、戯れる相手が欲しいだけなのか…
未だその答えを、私は探り続けている。
いっそ、大和のように “ セフレだ ” と、分かりやすく表明してくれた方がありがたいのだが…
『あ』
「??」
つい、素っ頓狂な声を漏らしてしまう。間抜けに口を開けた私を、天が不思議そうに見つめた。
私は、なんという大馬鹿野郎なのだろう。
セフレ関係の男を清算しないままに、彼氏を作ってしまうなんて。世間一般的に考えても、それはナシだろう。
全く…自分の奔放っぷりに嫌気がさす。ここへきて、だらしない不純異性交遊のツケが回ってきた。
「どうかした?」
『あ、いえ。なんでもないです』
自分の失態に呆れていたところへ、天が声を掛ける。彼は呆れ顔のまま、とにかく…と続けた。
「ボクも男で、意地があるから。これ以上グダグダと管を巻くのはやめるよ。
キミと龍の事は、応援してあげる。その代わり、楽にだけは絶対にバレないようにして」
『承知してます』
「キミの事だから、わざわざ言われなくても分かってるだろうけどね。それでも、あえて言わせてもらう。
もし キミの正体、さらに龍と付き合っている事が楽にバレるような時が来たら それは…
TRIGGERが、崩壊する時だよ」