第10章 脳みそ溶けるかと思ったぐらいなんだから!
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私と百は、荒々しいキスを繰り返しながら ベットへとなだれ込む。
ウィッグを外してから、次に百の黒シャツのボタンに手をかける。上から1つ、2つ と外してから そっとその手を止れられる。
「っ…エリちゃん、今日は 奉仕しようとか、そういうのは、何も考えないでいいから」
激しいキスで息の上がった百が、少しだけ紅潮した表情でそう言った。
そういうのは、何も考えないで。そんな事を言われたのは 久しぶりだった。
奉仕しなくて良い。では、彼は一体私に何を求めるのか。回らなくなってきてる頭で、私は懸命に考える。
そして、やがて1つの仮説に思い至る。
『…モモっ、』
「っ、…!」
切なげに名を呼ぶと、彼の顔に赤が差す。その反応を見て、私は確信した。
彼が私に求めているのは、恋人とするようなセックスだ。
『…モモ』
私は彼の首の後ろに腕を回して、顔を引き寄せる。そして懸命にキスをせがむ。
熱すぎる舌が私の中に侵入してくる。柔らかいその感触を味わっていると すぐに舌の動きはまた激しさを増してくる。
互いの舌が絡み合い、唾液が交換される。少しもこぼさないように 溢れる液体を 喉を鳴らして飲み込む。
「っ、…エリちゃん、」
キスの合間に少し顔を離すと、まるで胸が締め付けられているような表情で、私の名を呼ぶのだ。
眉根を寄せ、苦しげに息を吐き出すそんな百の顔を見ていると。私も堪らない気持ちになってくる。
『モモ…っ、モモ…!』
私も負けじと名前を呼ぶ。なんだかこうして互いの名を呼んでいると 本当に彼の恋人になったかのような錯覚に陥るのだった。
すっかり生まれたままの姿になっている私達は。これ以上密着出来ないというくらいに、互いをぎゅっと抱き締める。
熱い百の体の全部から、愛が伝わってくるようで。心の底から心地良かった。