第10章 脳みそ溶けるかと思ったぐらいなんだから!
そんな私の胸中を敏感に察して、百は両手を振って否定する。
「あぁっ違う違う!そういう意味じゃ無くて…!
そもそも、今回の件に関しては MONDAYの記者が個人的に許せないし。
あとは…うーん、なんていうかオレはさ…エリちゃんを凄く気に入ってるわけ。だから、わざわざ取り引きなんて事しなくても 君の為なら一肌脱いじゃうよん!」
『……なるほど』
私は、ゆっくりと百の方に歩みを進め 彼の目の前に立つ。
「そうそう!だから、今回は出血大サービ」
喋っている途中の、百の唇を唇で塞ぐ。
「!?」
驚く彼の目は、溢れんばかりに見開かれている。
私はゆっくりと引き寄せていた胸ぐらを離す。
『…前も、言ったと思いますが…。私、施しを受けるのは嫌いなんです。
それに…私も、百さんの事を凄く気に入っていますよ』
ふわりと微笑む私の頬に、そっと彼の手が触れる。
「え…えぇー!!なにそれなにそれ…!そんなのって、初耳 なんだけど」
百が初耳だったのは、私が施しを受けるのが嫌いな性分だった事か。それとも、私が百の事を気に入っていたという事実か。
はたまた…その、両方か。