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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第77章 ぃやーぬくとぅ かなさいびーん!!




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たとえ彼女が どんな姿をしていても、俺の好きな人に変わりはない。
しかし、どうやら内心では期待してしまっていたらしい。もしかすると、デートというワードを勝手に想像したからかも。

だから、エリは今日、女性の方をチョイスするのでは?と考えたのかもしれない…

しかしジムの前には、それは綺麗な男が立っていた。


「このジムの会員なんですか?」

「私達もなんですぅ」

『そうですか』


しかも、逆ナンされていた。

マスクにキャップ帽。さらには眼鏡をかけているのに、遠目で俺の存在に気付いた様子のエリ。

こちらに軽く目配せをして、ジムの門を潜る。エリに声を掛けていた女の子2人組は、寂しそうにその姿を見送っていた。俺は彼女達の視線がエリに向いている間に、そそくさとドアを通過した。


「ごめん。俺が待たせたせいで、声かけられちゃって」

『いえ。私が勝手に待っていただけで、龍は時間ちょうどでしたよ。
それに、さっきはただ、道を聞かれていただけで…』

「はは。隠す事ないのに。
君が格好良いから、あの子達も声を掛けたくなっちゃったんだろうなあ」


更衣室へ向かいながらの、何気ない会話。隣を歩くエリは、真面目な顔をして言葉を返す。


『龍が、居なかったから』

「ん?俺?」

『龍があの場に居たら、彼女達は絶対、貴方の方に声を掛けてました。
だって、1番格好良いのは 龍だから』

「え…っ」


突然 褒め殺しに合い、俺が固まっている間に。彼女は辺りに人の姿がないのを確認してから、女子更衣室に消えてしまった。


「な…なんなんだ、今日のエリは、何かがいつもと違う…!」


熱を持った顔を、自らの腕に埋めて。俺も逃げるようにして更衣室に入った。

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