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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第76章 知らず知らずの内に、同じ女に惚れていたんだな




楽は、衝撃の事実に理解が追い付かないと頭を抱えた。そして、外の風に当たりたいと言って退室してしまった。


「ちょっとエリ!」
『ちょっと先輩!』


残された私達の声が、ピタリと重なる。どうやら、互いに言い分があるようだ。しかし私は、先手を譲らない。


『楽には、私の事を話さないでくれとお願いしていたじゃないですか!』

「言ってないでしょー?春人の正体を明かすなとは口止めはされてたけど、エリがLioだって言うなとはお願いされてないもんねぇ」


MAKAは、べっと舌を小さく出して言った。そして今度は、彼女のターンだ。


「そんな事より!どうして楽に本当の事を教えてあげないのよ。正体を明かしてあげないのよ。
可哀想に…楽ったら、エリがLioだってこと知らなかったのに、エリの事を好きになって…

あぁ、こんなのって!こんなのって…究極の、愛だと思わない?」うっとり

『貴女、結局そういうのが好きなだけでしょう』


キラキラと目を輝かせ、嬉々として語るMAKA。私は肩を落とし、溜息を吐いた。そんな私を横目で確認し、彼女は続ける。


「あんただって、エリとして姿を現してデートまでしたんだから、少なからず奴の事が好きなんでしょう?」

『好きですよ。仲間なんですから』


私が躊躇なく口にした 好き という単語に、彼女さらに瞳を爛々とさせる。


「あら…あらあらあらっ!ほら!やっぱり好きなんじゃない!
TRIGGERのプロデューサーとして、楽と一緒に数々の苦難を乗り越えたから愛が芽生えたのかしら?
えーと、こういうの何て言うんだった? あ!そうそう!綱渡り効果って奴よ!」

『それを言うなら吊り橋効果ですよ。先輩、ロスでの生活が馴染みすぎて日本語が不自由になったんですか』

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